ARCHI-CLE

2020年ドバイ国際博覧会日本館__永山祐子建築設計 Expo 2020 Dubai JAPAN PAVILION__Yuko Nagayama & Associates

日本と中東の繋がりを象徴するパヴィリオン
2020年ドバイ国際博覧会のテーマ「Connecting Minds, Creating the Future」を受けて、本館では日本と中東の繋がりを文化、環境、技術の側面から表すことを考えた。

文化の繋がりを象徴する幾何学文様
両文化の伝統的な「幾何学文様」。どこか似通っている文様はシルクロードを介した両文化の繋がりを想起させる。日本の伝統的な麻の葉文様を立体格子にし、建物を覆う構造体とした。立体格子は見る角度によって複雑なアラベスクのような文様が生まれ、ふたつの文化を示す文様が表現される。格子に約2,000枚の小さなPTFEメッシュ膜を張り、強い日差しから建物を守る。小さな膜が風に揺れ建物全体が微振動し、繊細な光と影を生む。折り紙を思わせる膜の集積。折り紙はもともと折形礼法が発祥であり、来場者をお迎えする顔にふさわしいと考えた。

環境、技術の繋がりを象徴する水
中東から見た日本の魅力の上位は「四季のある美しい自然」「先端技術」である。その環境、技術、ふたつの要素を繋ぐのが「水」だ。水資源の豊富な日本は、美しい四季を生む一方、脅威にもなり得る水と共に生きてきた。中東は水資源が少なく、水=オアシスは古来から憧れの対象である。以前から日本の水技術が中東の水事情を支えていた。建物の前面に象徴として水盤を設け、両文化古来の水と風の環境システムを取り入れた。水盤を通る風が気化熱で冷やされ、涼しい風が建物内部に入り込む。

白銀比の平面形状と配置
初めて訪れた手がかりのない砂地の敷地で考えたのは宇宙的視点であった。砂漠地ではピラミッドに用いられた黄金比(1:1.618)が有名だが、日本には白銀比(1:1.414)がある。そこで台形の敷地に対して建物の平面形状を白銀比の二等辺三角形とし、残った二等辺三角形に水盤を据えた。屋根付き遊歩道の角地に建つ敷地条件に対して、この配置は両方の道から視線を受け止めるのに有効になる。三角平面から生まれるパースペクティブはエントランス空間に心地よい緊張感をもたらした。 遠い中東、使用材料の制限や現地の建設事情も考慮してグローバルな素材、明快なシステムを使い、素材や工法によらずに日本を表現したいと考えた。コロナ禍でなかなか現地に赴くことができなかったが、思い描いた形で実現できた。一度消えそうになった水盤は、理念に賛同した協賛者の方々のご支援によって復活した。まさに万博テーマを体現した日本、ドバイの設計チームおよび賛同して下さった方々の多大なる尽力があってこそである。ここから新しい繋がりが生まれ、次の2025年大阪・関西万博に続くことを願う。

総合プロデュース:電通ライブ
デザインアーキテクト:永山祐子建築設計
設計統括・意匠設計:NTTファシリティーズ
構造・設備・ファサードエンジニアリング:Arup

構造担当 / Arup
竣工日 / 2021年9月
構造・工法 / 鉄骨造
規模 / 地上2階建
敷地面積 / 5,161㎡
延床面積 / 3,519㎡

写真/2020年ドバイ国際博覧会日本館
映像/宮川 貴光

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Façade design combining traditional Arabesque and Asanoha patterns. Representing long history of connections and crossing of culture between Japan and the Middle East. Three-dimentional expression of Japanese Origami shapes. Guests welcomed by Japanese traditional Origami shapes that symbolize the respect shown to others through the Japanese art of Origata gift wrapping. A soft thin layer material inspiring Japanese traditional paper used in the three-dimentional façade covers the pavilion from the sun light. Natural cooling system that incorporates traditional Arabic and Japanese techniques. Expanse of water in front of the Pavilion cools the area and reflects the three-dimentional façade. Sustainable architecture employing use of environmentally-friendly system equipment. General Producer:DENTSU LIVE INC. Design Architect:Yuko Nagayama & Associates Master Architect:NTT FACILITIES, INC. Structural, MEP, Facade engineering:ARUP Structural Engineer / Arup Completion Date / 2021.09 Main Structure and Construction / Steel Size / 2-storey above ground Building area / 5,161㎡ Total floor area / 3,519㎡ PHOTO / Dubai International Expo 2020, Japan Pavilion MOVIE / TAKAMITSU MIYAGAWA

 

 

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